4・6ネットベンチャー2004年4月6日(火) 磨け!5分間 知的武装■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 第21号 ★★★★★★★★ 「見方が変わる!『超』マーケティング発想法」 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●発行責任者:アントレプレナー塾 塾長 三丘 大詩 読者数:949名 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― このメルマガは、21世紀型コスモ・マーケター、三丘 大詩(みつおか ひろし)が毎週書き下ろす、忙しい人のための知的ブラッシュ・アップ・メッ セージです。楽しく読んで自然にマーケティングセンスを身につけましょう! ――――――――――――――――――――――――――――――――――― フィールド探検、読書、ビジネス誌・新聞記事、TV、セミナー、映画など から見つけたマーケティング、経営、ベンチャー起業、キャリアアップ、読書 、グルメ等の旬の素材を厳選し、みつおか流に味付けして毎週お届けします。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【はじめに】☆★☆★☆★☆★☆★――――――――――――――――――― こんにちは、みつおかです。先週は日曜日から連続6日間の飲み会。さすが に今週からは新しい仕事に専念。各地の工場を視察してきます。春です。4月 は何かとフレッシュです。芽吹き、新緑、新しい授業・職場・・・。皆さんも 飛ばし過ぎないよう、お体にお気をつけください。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇ ネット・ベンチャーを考える ◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆ 宅配がネット・ベンチャーを救った 有機野菜と安全食品のIT起業「オイシックス」 ◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ●ITの進展で一気に膨らんだネットバブル。しかしネット・ベンチャーの倒 産件数は、2000年8件、01年27件、02年41件。ネットバブル崩壊 の中、伸びているベンチャーはどこが違うのか考えてみましょう。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ▼高島宏平は東大の情報工学の大学院を卒業後、外資系のコンサル会社で2年 勤務。2000年6月、26歳の時、仲間を集めてインターネットで有機野菜 や無農薬野菜を販売するオイシックスを起業する。農家と消費者をインターネ ットで結び宅配便で野菜を届けるビジネス・モデルであった。たまに注文が入 っても仲間達の親戚から。来る日も来る日も売りげゼロの日が続いた。 ▼ホームページ作りは得意なはずであったが何故? 高島はあせった。そこで 目をつけたのが、昔ながらの牛乳配達屋さん。10月から試しに15店の牛乳 屋さんを口説き落とし、週1回、牛乳の配達時にオイシックスのチラシと注文 票の回収をしてもらった。次第に注文が集まってきた。 ▼そこで分かったことがある。牛乳宅配ルートではその6割が60以上の高齢 者であった。フェイス・ツー・フェイスでお客の声が聞ける販売店に高島は通 った。高齢者は有機野菜以上に値段の張る各地の特産品を欲しがっているのが 分かった。またこの野菜の料理法も教えてくれなどの直の声が集まった。こだ わり卵1個百円。少々値は張るが、顔の見える配達は高齢者には嬉しかった。 ▼牛乳宅配ルートで仕入れた生の情報を今度は、インターネット販売に生かし た。地方の特産品を品揃えするとともに料理方法などの情報も載せた。またホ ームページではお客様の声を反映させる掲示板はあったが、特定な人しか書き 込まなかった。そこで始めて購入したお客さんに野菜の料理法などのメールを 送った。すると直に感想などが送り返されようになった。メルマガも始めた。 これで売り上げが3割アップした。 ▼初年度の売り上げは、半年の牛乳宅配ルートが3500万円でインターネッ ト売り上げを上回った。消費者と有識者からなる「食品委員会」を設け、野菜 や食品の安全性と表示のチェックを第三者視点でチェックするようにした。野 菜だけでなく、牛肉や加工品、御菓子など品揃えをを豊富にしていった。翌年 、スーパーなどから規格外で跳ねられたふぞろいな野菜たちがヒットする。 ▼現在、利用者は20万人。ちなみに今週の産地直送品は、茨城県の名島国男 さんが栽培した「まるかじり節水トマト」1箱2280円。レシピ―は海の幸 山の幸たっぷりの地中海料理特集もある。。社長29歳。従業員29名の平均 年齢28歳。2002年度の売り上げは7億5千万円である。 http://www.oisix.com ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【 みつおか流料理のツボ 】☆★☆★☆★☆★☆★――――――――――― ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ●ネットベンチャー起業を襲った売り上げ低迷。これを救ったのが昔からの牛 乳宅配でした。ハイテクとローテクの融合に飛躍の秘訣があったのです。ネッ トベンチャー成功の鍵はどうやって顧客の信頼を得るかで決まりそうです。 ------------------------------------------------------------------ ▼中小の素材メーカーは大量生産でコストを下げることで生き延びてきた。し かし顧客の大工場が海外に移転し、どこも青色吐息だ。そんな中バネメーカー で毎年、顧客を千社以上増やしているメーカーがある。浜松の沢根スプリング である。製造業に小売業を加え、サービスの差別化によって生き残ったのだ。 ▼毎月300万個も量産されるバネは1個20銭。このメーカは同じバネを1 個270円で売る。同じなのに千3百倍。その答えは1個からのばら売りに応 じ、しかも即日配送しているのだ。ここはこのまま少品種大量生産での価格競 争では儲からないと17年前から多品種少量生産のカタログ販売に切り替えた のだ。バネのコンビニ工場を目指すことによって売り上げを伸ばしている。4 千種類のバネを生産している。小売に力をいれ、メーカーとして生き残った。 ▼オイシックスの野菜や加工食品も決して安くない。しかし有機野菜や安全な 加工食品を求めるお客は多い。しかし起業当時は、ホームページだけではお客 もその存在が分からなかった。それを救ったのがお客と接している牛乳屋ルー トの口コミであった。一旦、オイシックスの良さが分かると、いい循環が起き る。品揃えが豊富になり、それに伴なうソフト情報も充実して、ますます売れ るようになる。 ▼ホームページだけでは決してモノは売れない。見込み客をホームページに連 れてくる仕掛け作りが重要である。オイシックスでは、それが牛乳屋さんとメ ール・マガジンであった。よくビジネスモデルだけでうまくいくと錯覚されて いるが、それでは仏作って魂入れずである。ネットビジネスの場合、信頼を得 る仕組み作りが成否の鍵なのだ。ネット時代にこそローテクが活きるのかも? ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 【今週のみつおかひろしの薀蓄】☆★☆★☆★☆★☆★――――――――― ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ●【マーケティング原理35】「ネット・ビジネスは信頼創造が鍵!」 ●【今週の一言】 「デジタルは、ヒューマンタッチを生かすツールでしかない」 オイシックス 代表取締役社長 高島 宏平 「顧客満足は、生産者と消費者のニーズをつなぐ細やかなサービスにある」 NHKビジネス塾の教科書?『燃える日本の中小企業』 「私はつねに需要は、アイデアと生産手段によってつくりだすものだと 考えている」 本田技研創業者 本田 宗一郎 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★☆☆☆☆☆ <<みつおかひろし の編集後記>> ☆☆☆☆☆★ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■■■■編集後記□□□□ ■■■ 『すべてはディズニーランドから教わった』で一躍有名になった ■■ 元ヤンキーの香取 貴信さんの講演を聞きに行った。感動する話の ■ 連続であった。自分で感動できるから、人を感動させられるのだとし みじみ感じた。次回はこの辺を素材にしましょうか? ■【次回予告】では、来週はデズニーランドの感動を売る仕掛け作りについて 考えてみましょうか? ●アントレプレナー塾 塾長 三丘 大詩(みつおか ひろし) http://plaza.rakuten.co.jp/hiroshi777 http://www.h6.dion.ne.jp/~hiroshi3/index.html ------------------------------------------------------------------ |